会見リポート
2006年06月14日
00:00 〜 00:00
デイビッド・ピリング・フィナンシャルタイムズ東京支局長「在日外国人のみた小泉政権5年」2
会見リポート
英国流ウイットで辛辣な小泉評
見市 元 (朝日新聞出身)
いわく、その風貌もしゃべり方も変わっている。話はわかりやすい。女性の人気も高い。いわばポップスター政治家だ。(6月末訪米の小泉首相が、ブッシュ大統領とそろってテネシー州メンフィスのエルビス・プレスリーの邸宅を見学する話に)エルビスの歌をブッシュとデュエットするところをぜひ取材したいと思って耳栓を買った──といった調子。
そして本題の小泉改革。「改革なくして成長なし、という言葉にはワクワクしたが、経済改革ではめぼしいものはなかった」。
ピリング氏の分析は、日本の景気回復は97年をリストラ元年と見立て、そこから粛々と進んだ企業の減量、合併などが、企業経営の好転につながり、それが雇用増と賃金の上昇、消費拡大という好循環を招いた。つまり「時間」が日本の回復をもたらしたのであり、「時間は小泉の功績とは言えない」。
グローバルな環境変化もあった。90年代にもう終わりといわれた日本の鉄鋼業がカムバックしたのは、中国特需あってのこと。「中国なくして成長なし」だ。あるいは「不人気な学者竹中氏」の起用による、不良債権処理と銀行の破綻回避は「日本経済の転換点にはなったが、改革ではなかった」。むしろ経済改革の旗手は、時価評価経営などを導入した橋本政権だった。そして、自民党をぶっつぶす、といって自民党を救った政治改革にこそ小泉改革の功績があった、というのがピリング氏の小泉評価だった。
ただし「改革のために自民党支持を」という小泉メッセージは「タバコをすえば健康にいい、というようなものだ」。常識的でいて辛辣。滞日4年にして、よくみている。
ゲスト / Guest
-
デイビッド・ピリング / David Pilling
フィナンシャルタイムズ東京支局長 / Tokyo Branch Manager of Financial Times
研究テーマ:在日外国人のみた小泉政権5年
研究会回数:2