2006年06月30日 00:00 〜 00:00
石川裕己・海上保安庁長官

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会見リポート

拿捕は考えられない

角南 源五 ( テレビ朝日報道局次長)

「冷静かつ的確に粛々と……」。石川長官は言葉を選びながら慎重に会見に臨んだ。7月3日にも韓国側が竹島周辺海域で海流調査を行うと伝えられている最中の会見となっただけに、会見場には、もちろん韓国、台湾、中国など隣接した問題海域を抱える国々、地域の記者が熱心にメモをとっていた。

4月に「明洋」「海洋」2隻の調査船が境港を出航するときのことについて長官は、「日本の測量船、明洋と海洋があの海域で拿捕されることは国際法上ありえないことと考えていた」「われわれは武装もしていないし、巡視船もつけていない」と述べたが、実際、あの時、韓国側は20隻の警備艇を派遣し、拿捕を含むあらゆる手段を講じて阻止すると公言していた。

当然のことながら拿捕されるような事態は想定されたと思うが、この質問に長官は「仮に妨害があった場合は、その事実を把握することが大事で、妨害の程度によっては安全を考慮し、調査をあきらめざるをえないと考えていた」という。国際法上の話は、現実に実効支配している国には通じないとあらためて考えさせられた。

韓国が予定している海流調査に関しては、「連絡がないまま調査が行われても、拿捕することは考えられない。現場で無線や拡声器を使って中止要請をする」にとどまるということだ。あくまでも冷静な対応をとるとしているが、長官の言葉の端々には、調査をやるべきだという国民の声にこたえられない無念さが感じられた。

30年間この海域の調査をやってこなかったことについて、「船も要員も限られている、日本海側は後回しになった」ということだ。

私は常日頃から、海洋国家の日本としては海上の安全、資源確保などのために優先的に費用をかけるべきだと思っている。

ゲスト / Guest

  • 石川裕己

    海上保安庁長官

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