2006年06月16日 00:00 〜 00:00
カマル・ナート・インド商工相

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会見リポート

「日本街」誘致の次は?

細田 昌夫 (共同通信経済部)

「重要なのはインドの労働力と日本の技術革新の連携。これにより大きなシナジー(相乗効果)を発揮できる」。日本とインドの力を合わせ、ともに発展を目指す今後15年間の協力シナリオをこう描いてみせた。

核問題で国際社会と対立するイランや北朝鮮をしり目に、核拡散防止条約(NPT)加盟を拒みつつブッシュ米大統領からことし3月、核技術協力を引き出した不思議な国。

そういえば1998年に強行した核実験に、唯一の被爆国として強く反発した日本も首脳外交などを経て、今や「インドにとって最大の政府開発援助(ODA)供給国であり、機関投資家のインド向け投資は米国や欧州を上回ってナンバーワン」と、持ち上げられるほどに変化した。

情報技術(IT)を軸とする高度成長の立役者が次に狙うのは、日本の大企業だけでなく中小企業も容易に進出できる工業団地の誘致。「年9%の経済成長を達成しつつ、熟練労働力は枯渇しない。既に2億5000万人いる中産階級は、毎年2500万人ずつ増えている」と売り込む。

インド進出企業の日本人駐在員にとって、 悩みの種は暑さに加え、 食事、教育、医療、娯楽など。こうした機能を併せ持つ「日本街」を日本の開発業者に建設してもらい、 中小企業を「磁石のように」 引きつける。 日本の中小企業から 「2年間で5億ドルの投資を期待したい」 と皮算用も。

課題はインフラの整備と、需要が膨らむ一方の電力などエネルギーの確保。日本との原発開発協力について「時期尚早」としつつ「日本が参加していけない理由はない」と示唆するなど、地球温暖化を招かないエネルギーの開発に向け、原子力で日本とインドが協力する日も近いのでは、と感じさせられた会見だった。

ゲスト / Guest

  • カマル・ナート / Kamal Nath

    インド共和国 / Republic of India

    インド商工相 / Minister of Commerce and Industry

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