2006年05月26日 00:00 〜 00:00
アジム・プレムジ・ウィプロ会長

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会見リポート

インド経済の象徴的存在

黒川 信雄 (フジサンケイビジネスアイ経済産業部)

「過去25年は大きな変化の連続でした。この先の25年は想像すらしがたい」。IT大国インドを代表するソフトウエア企業のトップとして、この言葉は本心だろう。

米スタンフォード大を卒業後、父親の急逝を受け調理用植物油を扱う企業に過ぎなかったウィプロ代表に若干21歳で就任。その後ソフト開発分野への進出を決め、わずか四半世紀で同社を世界トップレベルのIT企業に押し上げた。

現首相のマンモハン・シン財務相が91年から主導したインド経済自由化の波に乗り、“オフショア開発”と呼ばれるインド国内で海外企業のソフト開発を受託するビジネスモデルで急成長。インド経済発展の象徴的存在となった。

そのウィプロが今、日本市場開拓に本腰を入れている。現地法人を98年に設立。以来、システム導入や製造業向けソフト開発などでシェアを拡大し、05年には日本市場向け売上高が6000万ドルを突破した。

昨年は“ミスター円”の異名を取った元大蔵省財務官の榊原英資氏を顧問に迎え入れるなど、メディアの注目度も増す。

ただ、現状に満足はできない。全社売り上げに占める日本の割合は約5%。ITサービス市場規模で世界2位の日本で、その割合は決して高くない。「米国と比べ企業トップのITへの理解が低い」。日本の企業文化にそう苦言を呈する場面もあった。

トップダウンで物事が決まる米国と、多くの交渉が求められる日本。急激な右肩上がりが当たり前の同社のビジネスでは決してないが、信頼に足る技術力を備えた同社がいずれ、日米欧のIT市場で手のつけられない存在になるのは間違いない。

ゲスト / Guest

  • アジム・プレムジ / Azim Hashim Premj

    ウィプロ会長 / President, Wipro Technologies Limited

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