2006年05月18日 00:00 〜 00:00
コフィ・アナン・国連事務総長

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会見リポート

日・中韓対立を“緊張”と表現

中井 良則 (毎日新聞編集局次長)

事務総長として、おそらく最後の日本訪問だろう。計7回の訪日でほぼ毎回、クラブを記者会見の場に選び、今回が6回目のクラブゲスト。

穏やかで物静かな話し方は、10年前の混乱した事務総長選びで突然、候補者として浮上した時から変わっていない。当時、ニューヨーク勤務だった私は「声も小さいし、なんだかおとなしそうな人だな」と感じたのを覚えている。

1996年11月、ブトルス・ガリ氏の事務総長再選を米国が拒否権を行使して阻止した。

世界が驚き、アフリカ諸国が怒る中、クリントン米政権が次期事務総長として白羽の矢を立てたのが事務次長だったアナン氏だ。1カ月後に決着した時、国連本部ビルのだれもが「米国のお気に入り」というイメージを持った。それから10年。9・11やイラク戦争を経験して、国連の姿は大きく変わった。イラク戦争では米国と食い違う立場を示したため「お気に入り」のレッテルも消え、今年末、国連を去る。

会見時間は短かったが、13人ほどの質問に答え、内容は濃い。

「イラク戦争による国連の分裂はまだ癒されていない」「加盟国は安保理決議による正当性を得た上で行動すべきだ」「テロと戦うからといって、移民や外国人に対する規制が行き過ぎると、テロリストに勝利を与える結果になる」

日中・日韓の対立を「テンション(緊張)」と表現し「どのような行動が挑発となるかはわかっているはずだ」と述べた。小泉首相への苦情だ。

まだ、いいたくてもいえないことを抱えている。退任後はおとなしさを捨て、国連を都合よく利用することしか考えない大国をおおいに批判するだろう。

ゲスト / Guest

  • コフィ・アナン / Kofi Atta Annan

    国連事務総長 / Secretary-General of the United Nations

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