2006年05月16日 00:00 〜 00:00
アフマド・アブルゲイト・エジプト外相

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会見リポート

イラン核開発に一定の理解

久保 健一 (読売新聞国際部)

「あらためて日本とエジプトの強い友好関係を確認できた」

カイロ近郊ギザに日本の円借款で「大エジプト博物館」が建設されることなどを挙げながら、良好な2国関係を強調する際に見せた表情には、2代前のアムル・ムーサ氏(現アラブ連盟事務局長)、前任のアフマド・マーヘル氏といった、記者がカイロに駐在した当時のコワモテの外相たちとはひと味違う柔和さがにじんでいて、新鮮さを覚えた。

1942年生まれの63歳。カイロ・アインシャムス大で経済学修士号を取得後、エジプト外務省に入り、イタリア大使、外務省筆頭次官、国連大使などを歴任し、2004年7月、外相に就任。

人口では最大のアラブ国家。中東和平やイラク問題など域内の重要課題で、重要な仲介者の役割を背負っていることは、今も昔も変わらない。

イスラム原理主義組織ハマスが主導することに16なったパレスチナ自治政府への支援に関連した質問に答え、「(米、露、欧州連合、国連からなる)4者協議の枠組みで、メカニズムを検討すべき」と、エジプト単独での直接支援には慎重な姿勢を示したが、「(自治政府職員の)給料不払いなど、パレスチナが非常に悲惨な状況にあることは容認できない」と熱く語り、同胞の窮地打開のための国際社会の広範な支援を訴える一幕もあった。

イランの核開発問題については、「核拡散防止条約(NPT)加盟国であり、原子力平和利用の権利を持っている」とイランの立場に一定の理解を示す一方で、「軍事利用計画を持つことがあってはならない。国連安全保障理事会の場で平和に解決されることが望ましい」と述べるなど、国内に反米世論を抱えつつ、親米路線を堅持するという、そう単純ではない事情ものぞかせていた。

ゲスト / Guest

  • アフマド・アブルゲイト / Ahmed Aboul Gheit

    エジプト・アラブ共和国 / Arab Republic of Egypt

    エジプト外相 / Foreign Minister

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