2006年05月10日 00:00 〜 00:00
井上雅博・ヤフー代表取締役社長

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会見リポート

ヤフーモデルおそるべし

吉岡 昇 (日本経済新聞電子メディア局長)

いまや巨大なメディアである。10周年を迎えたポータルサイト、ヤフーの売上高は1700億円、経常利益800億円。平均年齢30歳の従業員数は3000人に迫る。インターネットの世界で強さのメルクマールになるユーザー数が4100万人、ページビュー(PV)が一日12億を超える。この急成長の立役者こそ井上雅博社長である。

「これまでの10年」と「これからの10年」─と題した井上氏の話を聞いて、あらためて「ヤフーモデルおそるべし」の感を強くした。過去10年は利用者数の増加とサービスの拡大で急成長したが、「このままでは頑張っても2倍」という井上氏は、「これからの10年は質的変化で成長を加速させる」と戦略を披露した。

キーワードは「ソーシャルメディア」だ。信頼性の高いコミュニケーションインフラの上に、大量の『ユーザーが発信する情報』が寄り集まることで生まれる新しいメディアを目指すという。利用者が何度も、そしてより長時間ヤフーのサービスを使うことを狙っている。

孫正義氏率いるソフトバンク・グループの稼ぎ頭を預かる井上氏の経営手法は堅実で理詰めだ。「インターネットの健全な発展」と「災害時の緊急支援」を目的とする「Yahoo!基金」を5月に創設するなどネットの信頼度を高める努力を着実に進めている。信頼度向上がヤフーの優位性をさらに高めることに直結すると確信しているからだ。

ネットの世界、一寸先は闇だ。ヤフーがニューヨークタイムズを傘下に治めるなんてことが起きるかもしれない。大激変が予想される中、このままでは既存のメディアがヤフーモデルに押しまくられることだけは確かだろう。

ゲスト / Guest

  • 井上雅博 / Masahiro Inoue

    ヤフー代表取締役社長 / President & CEO, Yahoo! JAPAN Corporation

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