2006年04月18日 00:00 〜 00:00
大日方邦子・パラリンピック金メダリスト

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会見リポート

パラリンピック・メダルの価値は?

籏野 寿雄 (個人会員(朝日新聞出身))

大日方さんのホームページを事前に調べて「すごい人ですね」と緊張しながら傍聴した女子学生が、終わった後「普通の人でした」と心を和ませた。世界の第一人者が高ぶらず、飾らず、数々の悩みを率直に語ってくれたからだろう。

パラリンピックのアルペンのレベルは大会ごとに上がっている。障害の種類や程度で細分化されていたレースも3つのカテゴリーに集約された。メダルの数も激減。それに、出場資格はワールドカップなどの成績で決まる。パラリンピックの競技化に選手は大賛成だが、レースに専念するには時間とカネが要る。どうやって確保するか。リーダー大日方さんの最大の悩み、と受け止めた。

彼女によると、アメリカ、ドイツ、オーストリアでは企業からの支援が一般化している。日本で同じことが実現するだろうか? CMに起用してもらえるだろうか? できないのはなぜ? 障害者を取り巻く 〝タブー〟 があるから? パラリンピックはマイナースポーツだから?

広く世界を見てきて、障害者アスリートと企業の関係を「これからの時代はギブ・アンド・テイクだ」と考えている大日方さんにとって、日本の現状は歯がゆいようだ。

「パラリンピックのメダルの価値って何だろう、と自問自答しているが自答はできていない」

いら立ちはあるのだろうが、それを柔和な笑顔と語り口の中に溶かし込んで話し続けた。選手には観客、企業には消費者である私たち、そしてメディア、も答えを求められている。

障害者も健常者もないじゃないかという話も出た。オリンピック、パラリンピック両大会を統合して、障害者競技もひとつの種目とする時代は来るのだろうか。

ゲスト / Guest

  • 大日方邦子 / Kuniko Obinata

    パラリンピック金メダリスト / Paralympic Gold Medalist

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