2006年04月28日 00:00 〜 00:00
広瀬道貞・民放連会長・テレビ朝日会長

申し込み締め切り

会見リポート

民放は公共的基幹メディアか

岡村 黎明 (個人会員(朝日放送出身))

「テレビに批判が集まっている。新聞を含め基幹的メディアへのプレッシャーは強い」──新任の民放連会長は切り出した。ホリエモンとLF・フジ、楽天とTBSなど民放が標的の事件で、前民放連会長は「民放にも公共性がある」と防戦の正当性を主張したが、世論は視聴率競争と低俗な娯楽番組が目立つとして民放の公共性に疑問を投げた。新会長は前会長とどう違うだろうか。

その民放に、目下の最大課題は地上波のデジタル化に違いない。新会長は「民放の運命を決する大事業をなんとしても成功させる」と決意を述べる。ローカル局を含めテレビ局側の負担と同時に、受像機買い替えを迫られる視聴者側の大問題も指摘したのは、送り手側としては珍しい。

通信と放送の融合論は 〝地デジ困難地域〟 解消法としても論じられているが、竹中懇談会の議論をけん制しつつ、競争導入でコンテンツの質が上がるとする説は「リアリティーに欠けリスキー」と強調する。しかし、放送の公共的責務と通信の社会的任務の違いをおさえた上で、放送に通信の新技術を活用する道をさぐる意見もある。

民放の公共性とは何かについて、民放の経営者、社員がしっかりした認識を持てば、NHKに対してもすっきりした姿勢を打ち出せるのではないか。受信料についても、NHKの政治的独立についても、他人の話ではなく、放送に携わるものに共通の課題としての方向が明らかになろう。きつい部分はおしつけ、おいしい部分だけ民放では世論は納得するまい。

民放はいかに公共的基幹メディアか、視聴者、国民へ率直に語ることが、個別の課題より、ナショナル・プレスクラブでは求められよう。

ゲスト / Guest

  • 広瀬道貞 / Michisada Hirose

    民放連会長・テレビ朝日会長 / President, The Japan Commercial Broadcasters Association

前へ 2024年03月 次へ
25
26
27
28
29
2
3
4
5
9
10
11
12
16
17
20
23
24
30
31
1
2
3
4
5
6
ページのTOPへ