2006年04月17日 00:00 〜 00:00
平山正剛・日弁連会長

申し込み締め切り

会見リポート

法曹三者 得失超えた取り組みを

石井 一夫 (読売新聞社会部次長)

「誠実だが、どちらかといえば地味で、指導力に欠ける」と言われてきた平山氏だが、この日の発言には自信が感じられた。

2月の日弁連会長選で、全国52の単位弁護士会のうち、41弁護士会の信任を得た。会長選の 〝常連〟 の感もある高山俊吉氏だけでなく、企業からの信頼が厚く、著名度も抜群の久保利英明氏にも大差を付けた。その圧勝ぶりが、新会長としての自信を支えているのだろう。

選挙では、(1)裁判員制度などの司法改革を全面的に推進する(2)質を維持しつつ法曹人口を一定程度に拡大させる(3)平和な社会に向けて現行憲法の重要性を訴える──との考えを前面に掲げた。

とくに、二人の兄を先の大戦で失い、「戦争は絶対にしちゃいけない」との母の言葉を胸に刻む平山氏にとって、護憲は個人的に避けて通れない主張だったようだ。こうした見解が今回、大きな支持を得た。

だが、ちょっと待ってほしい。各種世論調査によると、裁判員制度には国民の6─7割が反対している。平山氏は、理解不足が原因との考えだが、果たしてそれだけなのか。

護憲の主張についても同じだ。日弁連は昨年11月の人権大会で、「憲法を国民の行動規範にしようとする改憲論議」を否定したが、その主張も、多くの国民や野党を含む国会議員らの考えとはずれが生じている。

つまり、弁護士の世界での共通認識は必ずしも、一般国民の賛同を意味するものではないのである。

司法改革の目指すところは、国民主体の司法を実現することだ。そのために必要なのは、法曹三者それぞれが旧来の考え方にとらわれず、自らの集団の得失を超えて課題に取り組んでいくことだろう。

ゲスト / Guest

  • 平山正剛 / Seigou Hirayama

    日弁連会長 / Chairman, Japan Federation of Bar Associations

ページのTOPへ