2006年04月12日 00:00 〜 00:00
増田寛也・岩手県知事

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会見リポート

後藤新平の自治三訣

中西 晴史 (日本経済新聞社編集委員)

全国知事会会長の座を麻生渡・福岡県知事と争って1年余。知事会の地方分権推進特別委員長を務め、麻生体制を支えてきた。

この日の会見も、三位一体改革の総括、第2期分権改革や道州制への見解といった国と地方のあり方をめぐる問題が中心だった。

三位一体改革では補助金削減のうち、特に「公共事業関係の補助負担金4兆円余が手付かずだった」と不満を表明。旧建設官僚出身だけに、知り尽くしている公共事業関連補助金のむだにメスが入らなかったのが歯がゆいようだ。

今や三位一体改革にかわって飛び交うのは「歳入歳出一体改革」の文字ばかり。国の歳出削減の照準に合わされるのが地方交付税だ。増田氏は政策誘導的な交付税廃止など改革案を示した。

ただ、第2期分権改革で税源移譲をさらに進めても、税源の乏しい自治体は補助金削減が税源移譲額を上回り、交付税での穴埋めを求める。

一方、唯一の不交付団体である東京都は交付税による地方への安易な補てんには難色を示す。この東京問題をどう解決するのか。「東京は日本の顔であり、国の直轄地にしないと根本的解決にはならない」と言い切った。当然反論も予想される。

11年前に増田氏を知事選に擁立した小沢一郎氏が民主党代表に就任した直後の会見。初当選後、両氏は微妙な関係にもなったが、「各論についても詳しく論じてほしい。これは小泉さん(首相)も同じ」と両党首に注文も。

岩手出身の政治家、後藤新平が晩年説いた「人のおせわにならぬやう 人に御世話をするやう そしてむくいをもとめぬやう」という「自治三訣」を紹介して会見を終えた。

ゲスト / Guest

  • 増田寛也 / Hiroya Masuda

    岩手県知事 / Governor of Iwate Prefecture

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