2006年03月13日 00:00 〜 00:00
北側一雄・国土交通相

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会見リポート

安全な住宅のための基本法を

松野 修 (共同通信論説委員)

スピーチの主テーマは耐震強度偽装問題。再発防止策を分野別、時系列的に整理した分かりやすい内容だった。

フロアから、賃貸マンション住民への公的支援は地震など自然災害の被害者対策とのバランスに欠ける、という趣旨の質問があった。国交相は語気を強めて反論した。税金の使い方は公平でなければならないが、困った人に救いの手を差し伸べるのが政治なのだから、国交相側に分がある。

国交省が、欠陥住宅の責任を売り主等に履行させるため保険加入を義務化する宅建法改正を研究しているという。金融庁など関係省庁との調整が必要だというが、購入者サイドに立ったこの法整備のため、国交相のリーダーシップ発揮を期待したい。

建築物の文化性に関しても言及、欧米では中古建物の価格が下がらないことを紹介した。日本でも長持ちする建物を造り、建物の文化・景観という要素が評価されるべきだとの考え方だ。「石の文化」とも呼ばれる欧州の文化と日本の建築文化には違いがあるが、傾聴すべき意見だ。

日本の現状は格差拡大の傾向にある。政治はこれを是認、助長するのでなく、国民全体の富の蓄積を底上げする方向にかじを切らないと、建築文化の向上も夢物語に終わる。

対症療法は必要だが、それだけにとどまることなく、国民生活の基本中の基本である住宅の確保と安全について包括的な基本法を創設し、道路行政などから独立した住宅省をつくる時代が到来していることを、今回の偽装事件は教えている。長期的な展望の下での政策が必要だ。大臣在任の9月までに、その基礎工事を始めてほしい。

ゲスト / Guest

  • 北側一雄 / Kazuo Kitagawa

    国土交通相 / Minister of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

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