2006年02月23日 00:00 〜 00:00
池田明史・東洋英和女学院大教授/中島勇・中東調査会上席研究員「中東ベーシック」13

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会見リポート

ハマスは“モーニングおじさん”

福島 良典 (毎日新聞外信部副部長)

「ハマスは中東版モーニングおじさん」。パレスチナ、イスラエル事情を比喩や逸話を交えて一刀両断、時に会場の笑いをさそった。

シャロン・イスラエル首相の緊急入院(1月4日)、パレスチナ評議会選挙でのイスラム原理主義組織ハマスの圧勝(同25日)を受けての時宜を得た研究会となった。

例え話満載の中島節と鋭利な池田分析が炸裂した。スタイルこそ違うが、「だらしないパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハよりも、統制力あるハマスの方がまし」との基本認識では共通している。

冒頭の「モーニングおじさん」はとらえどころのないハマスの実態を、一部メンバーが「ユニット」として活動する女性歌手グループ「モーニング娘。」になぞらえた一コマだ。今後は?「(ハマスとファタハの)2大政党制に移行できそうな気配」(中島氏)、「パレスチナ他組織の部隊を統制できるかハマスの真価が試される」(池田氏)。3月のイスラエル総選挙とパレスチナ自治政府組閣が次の焦点だ。

米国はハマスに「テロ組織」のレッテルを張り、「中東和平の審判役を忘れて時にゲームに口を出す」(中島氏)。アラブ・イスラム世界の良き理解者であったはずの欧州も「昨年7月のロンドン・テロや今年初めのイスラム教預言者ムハンマド風刺画問題で被包囲意識を強めている」(池田氏)。

両氏は欧米流の「ハマス=悪」の図式とは一線を画し、ハマスとイスラエル中道政党カディマとの間で「暗黙のルールに基づく安定」が成立する可能性を指摘、日本の中東研究の水準の高さを体感させてくれた。

中東和平で日本が果たすべき役割を考えさせられる研究会だった。

ゲスト / Guest

  • 池田明史 / Akifumi Ikeda

    東洋英和女学院大教授 / Professor of Toyo Eiwa University

  • 中島勇 / Isamu Nakajima

    中東調査会上席研究員 / Senior Fellow of Middle East Insitute of Japan

研究テーマ:中東ベーシック

研究会回数:13

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