2006年02月09日 00:00 〜 00:00
松原聡・通信・放送の在り方に関する懇談会座長

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会見リポート

産業論だけでよいのか

足立 久男 (日本テレビ報道局長)

いわゆる「竹中懇」の座長。今やテレビ関係者が最も注視している人物の一人だ。会場には200人以上が出席したが、この規模は「首相クラス」という。

風貌もテレビ的?で口調もソフトだが、竹中総務相の私的懇談会の座長だけあって、発言は、それなりに大胆だ。

松原氏が目指すのは「放送と通信のビッグバン」。護送船団方式でやってきた金融の世界の変革になぞらえてみせた。技術が進歩し、放送と通信の垣根が低くなっている今、それぞれに異なる規制やルールが課されているのは無意味ではないかという。

確かに、テレビをめぐる変化は確実におきている。パソコン画面の横隅にテレビ画面を立ち上げ、メールの合間に面白そうな映像が流れれば、「全画面表示」に切り替えて見る。インターネット上で動画ニュースをダウンロードし、自分の都合の良い時間に見る。街角で、待ち合わせの合間に携帯電話で「ワンセグ」を見て、お笑い番組で時間をつぶす…。テレビは「お茶の間」で一家そろって見るものとは限らなくなってきた。

各社が乗り出しているインターネット上の映像配信サービスについても「ユーザーの視点から考えると、著作権の問題で見たいものが見られない。50万といわれるコンテンツがネットに流れれば、大きなビジネスチャンスとなる。見損ねたドラマがすぐ見られるようにすれば、ビジネスになる」と経済利益を主張する。

6月までに報告書をまとめるとのことだが、「官僚の作文はない。着地点もなく、シナリオもない」という。

「放送と通信の融合」は避けられない時代の流れではあるが、「産業の視点」のみでとらえてよいのか。出席者からも指摘が出たが、放送の「公共性」や、幅広い文化・ジャーナリズムの担い手としての役割にも十分目を向けて、議論を進めてほしい。

ゲスト / Guest

  • 松原聡 / Satoru Matsubara

    通信・放送の在り方に関する懇談会座長

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