2006年02月21日 00:00 〜 00:00
野口千歳・ケア・インターナショナルジャパン事務局長「被災地から」5

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会見リポート

生きる力 信じて支える

山﨑 登 (NHK解説委員)

「スマトラ沖地震津波の被災地の復興には、10年以上の年月がかかるでしょう」と野口さんは語り始めた。

2004年12月に起きたスマトラ沖地震のマグニチュードは9・0で、地球上で100年の間に2、3回しか起きない規模の超巨大地震だった。この地震による大津波はインド洋沿岸一帯に広がり、23万人以上の犠牲者を出した。

野口さんが日本支部の事務局長を務める国際協力NGO「CARE」は、60年の歴史をもち、アジアやアフリカなど70カ国以上の国で活動している。

地震が起きたとき、たまたまスリランカで活動していた野口さんは、何枚ものスライドを使って、大災害に翻弄された住民のその時とその後を語った。「海辺の村の中には、95%の住民が亡くなったところがあった」と大津波の怖さを語り、「道や橋が壊れたなかで物資を届けるには時間がかかる。しかも、ただ物をポンと置いただけでは、高齢者や子どもの手に渡らないのです」と、被災者の支援には細やかさが必要だと話した。実践に裏づけられたエピソードには説得力があった。

そして、「大事なことは、被災者一人ひとりの話を聞くことを通じて、それぞれの被災者が災害に立ち向かう思いや能力を高めていき、自分たちの力で災害を乗り越えていけるようにすることだ」「それを支えるのが本当の意味の支援だと思う」と熱っぽく語った。

「災害直後には多くのマスコミが現地に入ったが、時間とともに少なくなってしまった。被災地の復興は決して進んでいるわけではないので、継続的に取材してほしい」と飽きやすいメディアに対する注文とともに 「厳しい目で見てもらうことで、NGOは育つと思う」と自らへの戒めも忘れなかった。

恒例のゲストブックに、野口さんは自らの信念として、この文章のタイトルを記した。

ゲスト / Guest

  • 野口千歳 / Chitose Noguchi

    ケア・インターナショナルジャパン事務局長 / Secretary‐General, CARE

研究テーマ:被災地から

研究会回数:5

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