2006年02月15日 00:00 〜 00:00
ジョゼフ・キャロン・駐日カナダ大使

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会見リポート

知日派大使の「共同体」分析

会田 弘継 (共同通信編集委員)

「1975年に初来日した当時…流行歌は『泳げたいやきくん』でした」。なめらかな日本語でスピーチを始めると、 聴衆も笑って、なごんだ。

昨年12月に着任したキャロン駐日カナダ大使の日本記者クラブ・デビュー。「居酒屋でたまたま隣り合わせたサラリーマンの方々との会話も楽しみにしています」。

ソフトタッチで始まった講演が徐々に本題に入ると、居酒屋のサラリーマン風笑顔から、老練な外交官の顔つきに変わった。

本題は、12月にクアラルンプールで初の「東アジア首脳会議」が開かれたのを受け、アジア太平洋地域の「共同体」形成の現状を分析し、将来を探るものだった。

ずばり、 政治・経済・安全保障にわたる 「アジア共同体を築くことは前途多難である」と断じた。明治以来、「アジア志向と西洋志向」 の均衡をとってきた日本は、 あいまいな『アジアのアイデンティティー』 だけに基づくようなアジア共同体構想は受け入れられないはずだ、と分析する。

現在、アジア太平洋地域では東南アジア諸国連合(ASEAN)主導で、日米中などが幅広く加わる「政治共同体」、アジア太平洋経済協力会議(APEC)を軸に動く経済共同体、日韓豪などが米国と2カ国取り決めを結んでつくる安全保障共同体─が「効果的」に「調和を保って」機能している、というのが大使の見立てだ。日加両国の未来は、その中で国益を追求していくことにある、という結論だとお聞きした。

これまで3度、計15年の駐日歴を持つ。今回の駐在で四国88カ所巡りの残り29を終えるのも目標。「弘法大師はどこか(中世の神学者)トマス・アクイナスに似通う」という。文人大使でもある。

ゲスト / Guest

  • ジョゼフ・キャロン / Joseph Caron

    カナダ / Canada

    駐日カナダ大使 / Ambassador to Japan

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