会見リポート
2006年02月27日
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小島朋之・慶応大学総合政策学部長「東アジア共同体」9
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会見リポート
日中関係と共同体構想
丹藤 佳紀 (個人会員(読売新聞出身))
昨年12月に開かれた東アジア・サミットはクアラルンプール宣言で「東アジア共同体形成を促進する」とうたった。
経済・安全保障など各分野から見れば、その核心となるのは日本と中国(近い将来、インドも加わるだろう)とされる。ただ、その東アジア共同体(中国語では「東亜共同体」)について、日本と中国の立場・姿勢には違いがあるという。たとえば、加盟国に関して、拡大するか(日本)、限定するか(中国)であり、中国の議論は「合作」(協力)に力点を置いて「共同体」からは退き始めているとのこと。
さて、日中関係は昨年、「正常化以来最悪」とも評された。流行語になった「政冷経熱」も今では「政冷経涼」といわれる状況だ。
今後の改善を考える手がかりとなる「変数」として挙げられたのが相互補完関係の定着した経済関係をはじめ、国民感情・地域協力・歴史問題・台湾問題・安全保障=資源エネルギー問題の6テーマ。
歴史問題については、中国側でも抗日戦争中の国民党軍の役割が再評価され始めている。昨年、日中外相会談で合意した歴史的事実の共同研究などにより歴史問題は「小さくなってゆく可能性がある」という。
小島氏は中国の成都、瀋陽で20年来、環境調査・植林などに取り組んできた。それを記念し、瀋陽の植林現場に中国側が小島氏の名前を含めて築いた「中日友好林」記念碑が昨年4月、「反日」ムード高揚の中で壊されてしまった。
「でも、その記念碑を蘇えらせます」。キッパリした口調だった。
ゲスト / Guest
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小島朋之 / Tomoyuki Kojima
慶応大学総合政策学部長 / Dean of SFC, Keio University
研究テーマ:東アジア共同体
研究会回数:9