2006年01月18日 00:00 〜 00:00
パラニアパン・チダムバラム・インド財務相


会見リポート

成長の自信と対中競争心にじむ

竹内 幸史 (朝日新聞外報部)

昨年来、小泉首相、麻生外相らの訪問が続き、今年はマンモハン・シン首相の来日も予想されるインド。その巨大市場のかじ取り役で、1991年から続く経済改革の担い手でもある。

「戦後、アジアの成長の開拓者は日本だった。今、東アジアに次いでインドが新しい幕を開けつつある」「中国以外にこれほど成長している国はない」。美しい英語の端々ににじむのは、成長軌道に乗った経済の自信と、中国への競争心だ。

特に「世界の工場」と呼ばれる中国に比べ、「インドはITなどサービス業に強いが、製造業は苦手」とされる傾向に反発を示した。「製造業も年9%前後で伸び、輸出は年18%拡大している」と、幅広い分野の成長実績を強調。外貨準備額は「世界6位」の約1400億㌦に達した、と誇らしげに述べた。

その一方、「巨大な途上国」の弱みをつく質問にも丁寧に答えた。財政赤字については「貧困層が燃料や肥料を入手するための補助金は欠かせないが、GDP比で4・3%の財政赤字を3年後には3%以下に減らす」と説明。

また、カースト制度は「何世紀にもわたる問題。祈って消えるわけでない。農村の教育と雇用の向上が重要」と指摘した。世界の投資マネーを集めるようになった新興市場の背後に、依然として深刻な貧困問題が横たわっていることを示し、インドの悩みをうかがわせた。

インド南部出身。高齢者が目立つ閣僚の中では比較的若い60歳。将来の首相候補として期待する声もある。イランの核開発疑惑についての意見など担当外の質問にもそつなく答える。政治家としての度量の大きさ、バランス感の良さが垣間見えた。


ゲスト / Guest

  • パラニアパン・チダムバラム / Palaniappan Chidambaram

    インド共和国 / Republic of India

    インド財務相 / Minister of Finance, India

ページのTOPへ