2006年01月20日 00:00 〜 00:00
武者陵司・ドイツ証券東京支店副会長兼CIO「経済見通し」5

会見メモ

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資料


会見リポート

“しっくりしない経済”はいつまで続くのか

「仮説提示屋」という言葉を初めて聞いた。数字による経済予測の的中率を競うことには重きを置かず、その数字の根拠、つまりは仮説が正確に時代を捉えているか、それを問うタイプ、という意味らしい。「提示屋」を自称する武者氏には、「予想屋」でない、という強い矜持があるのだろう。

が、その武者氏も昨年は自らの仮説を間違えた、という。現在、世界経済を引っ張っている米国ではこれまでの25年間、短期金利と景気はパラレルの関係にあった。景気が良ければ金利が上がり、悪ければ下がる。その金利がここ数年下がってきたのだから、2005年は景気も下降局面に入る、と読んだ。それが武者仮説である。しかし、結果は逆だった。そのため米国を牽引車とする日本経済、ひいては株式市場の見通しも大きく狂ってしまった、というわけだ。

なぜ間違えたのか。グローバル経済が進展し、米国はじめ先進国は中国、インドなどから安い労働力の提供という恩恵を受けられるようになったため、景気拡大が続いても金利が上がらない状態が出現したからだ、というのが武者説である。

その新しい仮説からすると、世界的低金利は続き、現在も割安な日本株はもっと上昇するらしい。が、そんな「しっくりしない経済」はどれくらい続くのか。武者氏自身も「分からない」そうだが、リスクを取る度胸も、カネもなくて株を買えぬ者は、時代から取り残されてしまうのだろうか。


ゲスト / Guest

  • 武者陵司 / Ryoji Musha

    日本 / Japan

    ドイツ証券東京支店副会長兼CIO / Manager / CIO of Tokyo Branch, Deutsche Bank

研究テーマ:経済見通し

研究会回数:5

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