2005年12月26日 00:00 〜 00:00
長島忠美・衆院議員・元山古志村長「被災地から」4

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会見リポート

復旧に立ちはだかる雪の壁

三島 亮 (新潟日報東京支社報道部)

「問題は地震が風化するということ。忘れられないように自分たちの本当の姿を発信し続けたい」。昨年9月の総選挙で、衆院議員となった長島氏(元山古志村長)は、危機感をにじませた。2004年10月23日の中越地震から二度目の冬を迎えた被災地は、記録的な豪雪に覆われている。仮設住宅で暮らす被災者は、今もなお8千人を超える。山古志の住民680世帯のうち、現時点で地域に帰ることができたのは20世帯ほどに過ぎない。

長岡市と合併前の昨年3月にまとめた山古志の復興計画で、帰村目標を今年9月とした。「2年が住民が耐えうる最大限のタイムリミット」と思ったからだ。ところが、昨冬の豪雪で地震による地盤災害に雪害が加わり、復旧工事の発注が遅れた。そこに今冬の豪雪である。時間との闘いの復旧に、雪の壁が立ちはだかっている状態だ。

当初、住民の94%が望んだ帰村についても「最終的には8割の人になるかもしれない」との見方を示した。高齢者が多い山古志。今後の大きな課題として、自力で生活再建ができず、仮設に残らざるを得ない人への手厚い制度の必要性を強調した。

山古志の挑戦は、地震で一度壊れたふるさと、コミュニティーを新たな形で作り直すという困難な大事業でもある。「生活環境が厳しくても、あそこに暮らすことが生きがいそのものだという住民がいる。それを守るのも私の仕事だ」と力を込めた。

国会議員として「地方が抱えている悩みを代表する立場になりたい」と長島氏。少子高齢化、農業の担い手不足、加速する過疎…。日本の国土の7割を占める中山間地は将来像をどう描けばいいのか。中越地震からの復興が、全国的にふるさとの価値を見直す契機になってほしい。

ゲスト / Guest

  • 長島忠美 / Tadayoshi Nagashima

    衆院議員・元山古志村長 / Member of the House of Representatives (Former Mayor of Yamakoshi, Niigata)

研究テーマ:被災地から

研究会回数:4

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