2005年12月20日 00:00 〜 00:00
稲嶺恵一・沖縄県知事

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会見リポート

日米安保の根幹揺るがす

近藤 好沖 (琉球新報東京支社報道部長)

「一度、海の底に沈んだものを引き揚げた。ゼロからの出発でなく、マイナスからのスタートだった」
前の政権が米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設で県内受け入れを拒否、政府との蜜月関係が急速に冷えた。そんな「歴史的偶然」の知事選で初当選。「普天間代替施設」の軍民共用と15年後には返還し、民間空港として使用するという使用期限も求めた。代替施設ができる沖縄本島北部の振興につなげたい、との一念。が、不透明な使用期限や北限ジュゴンなどの環境問題に阻まれ、容易ではない。

米国は、しびれを切らした。世界的な米軍再編の中で、ジュゴンの海を埋め立てるより、海兵隊基地を中心にL字型に空港施設を造る案が浮上。閣議決定までした前案を「何の説明もなし」に変更した。地元は「頭越し」と反発。「10カ所から7案、さらに2案に絞り」紆余曲折の末、ようやく辺野古沖にたどり着いたはずだったのだが。

在日米軍施設の75%がある沖縄県。県総面積の2割を占める。県知事選挙、国政選挙はもちろん県議会議員選挙、主要都市首長選にまで安保の是非が問われるほどだ。

「(県民の)マグマが噴き出す」。1956年のプライス勧告による島ぐるみ闘争、70年のコザ反米騒動、95年の米兵による少女への暴行をきっかけに日米地位協定改定を求めた8万5000人の県民大会と、 マグマが爆発してきた。 「もし政府の要望に沿って(沿岸案)にいくと沖縄はまったく違う方向へ動く。 日米安保の根幹を揺るがしかねない」 と危惧した。 「外交と防衛は国の大事。沖縄だけの問題ではない」 と理解を求めたが、 ウチナー(沖縄)とヤマト(本土)との距離の差は、 温度差にもなる。

ゲスト / Guest

  • 稲嶺恵一 / Keiichi Inamine

    沖縄県知事 / Governor of Okinawa Prefecture

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