会見リポート
2005年12月13日
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村瀬清司・社会保険庁長官
会見詳録
会見リポート
「民」の目線からの改革
木村 裕明 (朝日新聞経済部)
社会保険庁改革の焦点である年金業務を引き継ぐ新組織の位置づけについて、自民党の作業部会と厚労相が設置した有識者会議がそろって方向性をまとめた翌日の昼食会。タイミングのよい開催となった。
年金保険料の無駄遣い、年金の支給ミスに職員の不祥事が重なり、社保庁はすっかり国民の信頼を失った。火中の栗を拾う形で、損保ジャパンの副社長から転じて1年5カ月。「組織として落ちるところまで落ちた中でのスタートを切った」というのは偽らざる本音だろう。
キャリア官僚、本庁採用のノンキャリア職員、多数の地方職員という3層構造が風通しの悪い体質を生んできた。「理念だけでは改革は進まない。現場に解がある」。就任以降、持ち前の行動力を生かして各地の社会保険事務所を回り、職員との対話を重ねてきた。全国312カ所のうち、すでに248カ所を回ったという。
「業務改革、職員の意識改革、組織改革を成し遂げ、国民の信頼を回復したい」というビジョンは明快。ぶれのない語り口に、誰よりも現場の実務に通じているという自負と、強いリーダーシップを感じた。
「行政サービスのトップランナーをめざす」と、あえて高い目標を設定するのも「村瀬流」。他省庁に先駆けて昨年10月から、能力・実績に基づく民間企業的な人事評価制度の試行も始めた。「民」の目線をとり入れた改革が徐々に職員に浸透し、社保庁は確かに変わりつつあるようだ。
最大の課題は国民年金保険料の収納率向上。改善の兆しはあるが、「07年度に8割」という目標にはなお遠い。今後は1万人もの人員削減を進めながら実績を上げていくことを要求される。 「改革は緒についたばかり」 と締めくくった。 引き続きその手腕に期待したい。
ゲスト / Guest
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村瀬清司 / Kiyoshi Murase
社会保険庁長官 / Director-General, Social Insurance Agency