2005年12月02日 00:00 〜 00:00
河内山哲朗・全国市長会国民健保対策特別委委員長・山口県柳井市長「社会保障(10)医療制度改革」6

申し込み締め切り

会見リポート

健康自治体づくり

松本 克夫 (日本経済新聞論説委員)

かつての全国最年少市長も4期目。今や地方を代表する論客である。今回は市町村を代表する形で医療制度改革に対する見解を語った。

話の中心は75歳以上を対象に新設する後期高齢者医療制度。国民健康保険の被保険者のうち無職が5割を超え、市町村の負担が重い現状では、市町村が新制度の運営主体になるのは無理であること、都道府県単位に全市町村が参加する広域連合が担うことになったが、それでもリスクは高いことなどを説明した。

ただ、こうした地方側の公式見解よりも興味深かったのは、医療費の抑制に関して、市町村に何ができるか、についての個人的な見解である。「これからは健康を一番大切な価値として掲げる健康自治体をつくっていくことが大事」と強調した。

豪華な「ハコ物」を建設し、無駄遣いという批判を浴びている自治体は少なくないが、「つくってしまったものは仕方がない。これは将来の医療費抑制のための初期投資なのだといえるようなプログラムをつくることだ」とアイデアを示す。例えば、稼働率の低いサッカー場や温水プールなどは各地にある。これをうまく使いこなして、健康増進、医療費抑制につなげられれば、市民の理解も得られるというわけである。

後期高齢者の医療費が増える原因の一つに頻回受診がある。受診というより集いの場を求めて病院通いをしている場合もある。柳井市が数年前から実行しているのは、高齢者が必要以上の通院をしなくとも済むような、車を使わないで集まれる介護予防拠点づくりである。昔話を聞く会という催しも、高齢者のストレス解消になり、人気も高いという。

カネをかけなくとも、医療費を抑制するやり方はあると痛感した。市町村の知恵比べに期待したい。

ゲスト / Guest

  • 河内山哲朗 / Tetsuro Kouchiyama

    全国市長会国民健保対策特別委委員長・山口県柳井市長 / Mayor of Yanaishi, Yamaguchi Prefecture

研究テーマ:社会保障(10)医療制度改革

研究会回数:6

ページのTOPへ