2005年12月01日 00:00 〜 00:00
高木剛・連合会長「社会保障(10)医療制度改革」5

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会見リポート

大綱と政府の手法を批判

河出 卓郎 (毎日新聞社会部編集委員)

当初は、厚生労働省の「医療制度構造改革試案」に対する連合の考えを聞くはずだった。ところが、政府与党間の調整が予想以上に早く進み、「医療制度改革大綱」を決定する政府与党の協議会とほぼ同時進行の研究会になったため、この日の内容は大綱への評価が中心になった。

政府の医療制度改革への取り組みについて、厳しい調子で批判した。患者、国民への新たな負担を強いるだけでなく、構造的な問題にメスを入れていない、という主張だ。

その中でもトーンが上がったのは政府の手法だった。大綱には盛り込まれなかったが、経済財政諮問会議が主張していた保険免責制を「禁じ手、ルール違反」と切り捨て、財政審議会の建議書についても、医療保険に関する表現は「100%諮問会議の丸写し。諮問会議の決定を水戸黄門の印籠にしている」と指摘。小泉政治を「経済財政諮問会議政治だ」と言い切った。

医療制度改革への思い入れもうかがえた。1997年から自ら参加した医療保険福祉審議会制度企画部会の積み上げた議論が「日本医師会の反対でことごとく頓挫した」と振り返る口ぶりには、無念さがにじんでいた。

10年以上前から連合が展開している「医療機関に領収書を要求する運動」が実り、大綱が領収書発行の義務化を明記したことは素直に評価。「10年にしてようやく」と口元がほころんだ。

昨年10月に会長に就任したばかり。日本記者クラブに初登場というのは驚きだった。恒例の揮毫は「いい加減にしろ 負担増、給付削減ばかり」。組織率の低下など労働運動を取り巻く環境は厳しいが、これからも「国民の代弁者」として活動を続けてもらいたい。

ゲスト / Guest

  • 高木剛 / Tsuyoshi Takagi

    連合会長 / President, Japanese Trade Union Confederation

研究テーマ:社会保障(10)医療制度改革

研究会回数:5

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