2005年11月24日 00:00 〜 00:00
マレー・マクレーン・駐日オーストラリア大使

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会見リポート

開かれた地域主義を目指して

杉井 昭仁 (朝日新聞外報部)

釜山でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)が終わり、12月にクアラルンプールでの初の東アジアサミットを控える中、豪州がアジア・太平洋地域で何を目指し、どう地域に関わっているのか、包括的に話を聞く機会となった。

大使はアジア・太平洋地域について、「500年ぶり以上に世界経済に大きな影響を与えている」と述べ、地域への豪州の関わり方を特徴づける言葉として「プラグマティズム(実用主義)」と「フレキシビリティ(柔軟性)」を挙げた。公式か非公式かという形にこだわらず、「結果としての国同士の関係の中身が重要」と強調する。

そして、貿易、安全保障、文化、人的交流における豪州の地域への関与を、大使は「広さ、深さにおいて驚くべきもの」とする。実際、同国の貿易総額の7割はAPEC諸国で占められている。地域の安全面でも、東ティモールへの国連平和維持軍派遣や昨年暮れのアジア大津波での救援活動などで存在感を示している。

様々な関与を通じて、豪州は「開かれた地域主義」を目指していると大使は言う。だが、「テロとの戦い」で米英と協調し、数ある地域機構のうち、米国が参加するAPECを「群を抜いて重要」と強調するように、豪州の外交は米国との同盟と英連邦の一員という立場が基本にある。イスラム諸国を含むアジアと米英との真の意味での「懸け橋」になれるかが問われていると言えるだろう。

中国勤務の長い大使だけに、最近の日中関係の悪化を懸念する質問も出た。「地域の安定には日中間の建設的な対話が欠かせない」としながらも、小泉首相の靖国神社参拝については「日本の首相がお決めになること」とかわした。




ゲスト / Guest

  • マレー・マクレーン / Murray McLean OA

    駐日オーストラリア大使 / Ambassador of Australia to Japan

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