2005年11月21日 00:00 〜 00:00
齊藤正憲・日本経団連医療改革部会長/松井博志・国民生活本部長「社会保障(8)医療制度改革」4

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会見リポート

医療費は経済規模と整合を

横田 実 (共同通信社会保障室)

財界総本山の登場だ。「自立」「民主導」をキーワードに、経済政策、税制、外交など多岐にわたる分野について提言。小泉改革の基本方針である「官から民へ」という潮流の中で、彼らの存在は大きい。今回焦点となっている医療制度改革でも政府与党を動かすほどだ。

800万ともいわれる団塊の世代が高齢期に入り、改革が進まなければ医療給付費は持たなくなる。制度存続のためには公的保険制度を重度の病気や生命に支障がある人へ重点化させる。自身の健康は自分で守る。必要なら民間保険の加入も促すことで国民生活が守れるとの見解だ。

「これまでの医療制度改革は患者の一部負担の引き上げや総報酬制など負担先行の見直しに終始。活力の担い手である現役世代に過度な負担を強いれば経済だけでなく公的保険制度の維持も困難だ」(齊籐氏)と指摘。このためには公的医療費の総額について経済規模と整合する政策目標が重要であると訴える。

松井氏が「医療費の一部を保険対象外として全額自己負担を求める保険免責導入について現役の人が医者にも行けず風邪薬を買っている。医療の必要性が軽い時には免責を行い、救急など重い場合こそ保険給付すべきだ」と切々と訴える。免責制度は自分の健康づくりのインセンティブにつながると理解を求めた。

日本の企業負担が欧米に比べて少ないとの指摘について、現役・高齢者負担の限界も含め、今後さらに提案していくという。民間の力、存在がますます大きくなる時代。経団連の発言はさらに強まるだろう。

ゲスト / Guest

  • 齊藤正憲 / Masanori Saito

    日本経団連医療改革部会長

  • 松井博志 / Matsui Hiroyuki

    国民生活本部長

研究テーマ:社会保障(8)医療制度改革

研究会回数:4

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