2005年11月14日 00:00 〜 00:00
木山啓子・JEN事務局長

申し込み締め切り

会見リポート

降雪のなか「第2の死」も

西内 正彦 (個人会員(共同通信出身))

旧ユーゴスラビア、インド、アフガニスタンなどで緊急援助の実績を持つJENが、パキスタン大地震の被災地へ隣国アフガニスタン・カブール事務所からスタッフを派遣したのは、発生の翌日10月9日だった。

支援地域は首都イスラマバードの北東約60キロにある標高2000メートル以上のバーグ地区とした。同26日から2週間、現地で活動してた木山さんは、バーグに決めた理由を「大都市は支援が集まるのに、幹線道路沿い以外や調査が困難な山岳地帯は取り残されてしまうから」と述べた。

人口約45万人の同地区では推定で死者1万人、負傷者3万人、家屋の30%が全壊し、70%が半壊か、一部損壊したという。同地区の2つの村を対象にして、カラチで調達したテント(15人まで収容可能)、毛布、石けんや水タンク、調理、暖房両方に使えるストーブなどをセットにして配ることにした。

「事前にリーダーと思われる人に氏名、家族数などをリストにしてもらいました。配布当日に氏名を確かめ、サインしてもらって渡します」。バーグには倉庫がないため、イスラマバードで借りた倉庫に保管し、配布場所まで2トントラック4台で毎日、配る数だけ積んで運搬するという作業を続けた。予定はテント2000張だが、約900張を配り終わった段階だという。「1セットは70キロ。片道3時間かけて取りに来る人もいました」。配布終了後には、どのように使われているか、地域を訪ねて確認調査もしたが、まだテントを張っていない家族もあったという。

現地では降雪が始まった。「風邪を引いている人が多く、肺炎などで〝第2の死〟が起きることが心配」と木山さんは気遣う。JENへの個人募金がインド洋津波の時の5分の1以下という関心の薄さも気になった。

ゲスト / Guest

  • 木山啓子 / Keiko Kiyama

    JEN事務局長 / Secretary-General, JEN

ページのTOPへ