2005年11月11日 00:00 〜 00:00
ウィリアム・ラムゼイ・IEA事務次長

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会見リポート

開発投資あれば石油は足りる

今井 伸 (個人会員(毎日出身)ガスエネルギー)

国際エネルギー機関(IEA)が11月7日に発表した05年版世界エネルギー見通しは、原油価格高騰が注目を集めているわりには、各紙の扱いが小さかった。結論が一見穏当なものだったからだろう。

その4日後に行われた本会見の内容(もちろん見通しと同じ)は3点に要約できる。①このまま行くと世界の一次エネルギー需要は年平均1・6%伸び、2030年には現在より50%増える。化石燃料は主役であり続ける。②世界の石油生産に占めるMENA(中東・北アフリカ)諸国の重要度がさらに高まる(世界シェアが現在の35%から44%に上昇)ものの、MENAの生産・輸送インフラに必要な投資を行えば、世界の需要増にこたえることができ、原油価格は1バレル=39ドルに抑制できる。③消費国は一段とCO2削減と省エネ政策を推進すべきであり、そうすれば、年平均増加率は1・2%に抑えられ、石油価格は基準ケースの35ドルより15%低下する。

さて、量的にも価格的にもなんとかなりそうだというご託宣に安心したい気持ちは山々だが、見通しをよく読めば「実は怖い話」がたくさんある。MENAの石油上流部門への投資は現在の2倍に増えることが前提になっているが、この地域にいつ平和が訪れるのか。イラクやイランに巨額な投資をできる時代が本当に来るのか。見通しは「投資が大幅に不足すれば、世界のエネルギーバランスは激変する」としている。

世界の石油生産は間もなくピークを越えるという「ピークオイル」説が、原油相場高騰の一因にもなっている。開発投資を行えば需要増を満たす供給は可能だとする見通しは、これをけん制する狙いもある。専門家の常識は尊重するにしても、どこか引っかかるものが残る。

ゲスト / Guest

  • ウィリアム・ラムゼイ / William Ramsay

    IEA事務次長 / Deputy Secretary General, International Energy Agency

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