2005年10月27日 00:00 〜 00:00
辻哲夫・厚生労働審議官「社会保障(5)医療制度改革」1

会見メモ

下記リンクから資料を開けます
資料1~6
資料7~11
資料12~16
資料X
資料Y


会見リポート

「医の再設計」たくみに説法

大林 尚 (日本経済新聞編集委員兼論説委員)

辻さんは10月に厚労省が公表した医療制度構造改革試案の責任者だ。厚生行政のエキスパートとして省内で熱弁をふるう姿は「辻説法」として有名です、という宮武剛さんの紹介どおり、試案に吹き込んだ医療制度の理想像について思いのたけを懇々と話した。

試案に関するメディアの報道や論説・解説は医療財源をどう確保するか、保険料や窓口負担を誰がどういうかたちで負うべきか、という財政論に傾いている。そうした風潮への静かな抗議の意味もあるのだろう。生活習慣病を退治することこそが医療費の膨張を抑えるのに役立つ確実な手立てであることを、医学界の最新の研究成果なども交えて紹介した。1時間15分の講演時間のうち、50分程度をこの問題に費やした。総理を担ぎ出して国民運動を展開したいと繰り返したことが印象に残った。

肥満、糖尿、高血圧、高脂血は医療界で「死の四重奏」と呼ばれる。恐ろしさを若いうちから理解することが欠かせない。そのためには、かつての交通安全運動を想起させるムーブメントを起こしたい、というものだ。内臓脂肪がたまり続けることで、死の四重奏が現実化する恐れが高くなった状態を「メタボリックシンドローム」と呼ぶ。この専門用語は国民運動の開始と同時に流行語になっていくのだろう。

もうひとつ、熱を込めたのは在宅医療の大切さだ。病院で死ぬことは、いまの日本人には常識。自宅での死亡率は1割強だが、医療機関は8割を超す。東京都内はもっと高い。だが、アメリカの病院死亡率は4割程度だ。日本では、ほとんどの人は亡くなった月の医療費がぐんと跳ね上がる。この問題をどう考えるべきか。

医療費の抑制問題で厚労省と対決することが多くなっている経済財政諮問会議の関係者が、あるとき辻さんを「医療改革のロマンチストだ」と評したことを思い出した。


ゲスト / Guest

  • 辻哲夫 / Tetsuo Tsuji

    厚生労働審議官 / Deputy Director-General of Health, Labour and Welfare

研究テーマ:社会保障(5)医療制度改革

研究会回数:1

前へ 2024年03月 次へ
25
26
27
28
29
2
3
4
5
9
10
11
12
16
17
20
23
24
30
31
1
2
3
4
5
6
ページのTOPへ