2005年10月17日 00:00 〜 00:00
不破哲三・日本共産党議長「憲法」2

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会見リポート

9条改定論の3つの盲点

恵村順一郎 (朝日新聞論説委員)

自民、公明両党を衆院の3分の2を超える巨大与党に押し上げた先の総選挙。あくまで衆院に限ってのことだが、憲法改正の発議も可能な一大勢力である。民主党の前原誠司新代表も憲法改正に前向きだ。

こうした政治状況に懸念が募るのだろう。冒頭、 不破氏は 「総選挙後、憲法9条改定の論議が加速しているが、重要な論点を議論の外に置いたり、議論の角度に現実離れしたりした点がある」と切り出した。

盲点の第1は、9条改定論の多くが自衛問題を装って論議されていることだという。「解釈改憲で乗り越えられない最後の一線である、海外での武力行使を禁じる憲法の縛りを取り除こうというのが9条改定論が台頭してきたいちばんの事情だ」と喝破した。

第2の盲点は、9条改定推進派が軍事偏重の安全保障論に立っていることだという。近著『私の戦後六〇年』でも豊富に触れられている野党外交の実績を紹介しつつ、「今日の世界では、外交こそが安全保障の主役。日本の安全保障の弱点は9条でも軍事力の不足でもない。外交力の弱さにこそ、最大の弱点があることを直視すべきだ」と訴えた。

第3の盲点は、9条を世界がどう見ているかの問題だという。「アメリカのイラク侵略によって、平和の国際ルールを守ることに関心が高まり、その方向性を示す模範として日本の憲法9条に世界の注目が集まっている」と指摘した。

折しも、小泉首相が靖国神社に5度目の参拝をした日。「日本の存在価値を示すのに、9条を示すのか、小泉さんのように靖国を示すのか」との問題提起は鮮烈に響いた。

不破氏の日本記者クラブでの会見は実に12回目。揮毫は「希望ある日本の未来のために」だった。

ゲスト / Guest

  • 不破哲三 / Tetuzo Fuwa

    日本 / Japan

    日本共産党議長 / JCP

研究テーマ:憲法

研究会回数:2

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