2005年10月03日 00:00 〜 00:00
ラグラム・ラジャン・IMF調査局長/デビッド・バートン・IMFアジア太平洋局長

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会見リポート

原油高が最大のリスク

今松 英悦 (毎日新聞論説委員)

IMFといえば、構造調整の本家本元のように思われてきた。経済見通しでも抑制気味というのが、一般的印象だった。

そうした見方からすれば、05年のみならず06年も4・3%程度と強気の世界経済見通しは、意外な印象を受けた。ただ、成長の実態は、「米国と中国頼りであり、原油価格高騰など、下振れリスクが心配」(ラジャン調査局長)ということで、手放しで喜べるものではない。

なかでも、IMFは原油価格上昇を最大のリスクと見ているようだ。04年の上昇は実際の需要が見通しを上回ったため生じたが、今年は需要が見通し水準で推移しているにもかかわらず、高騰している。これは供給側の要因によっているというのがIMFの見解である。

ここ数年、中国やインドなどの原油需要大幅増加は周知の事実だった。それが、なぜ、今年、先物で1バーレル70ドル乗せという事態が起きたのか。先行き不透明感からである。これは、ラジャン局長が指摘するように、原油生産、精製の双方で十分な投資が行われなかったためでもある。リスクを低減するためにも、国際石油資本や産油国の責任は重い。

量的緩和政策の解除が議論されつつある日本の金融政策では、バートン・アジア太平洋局長が、いましばらく量的緩和を継続することに期待を込めた。その一方で、景気が持ち直しているいま、財政再建に向けて機を逃さず取り組むことも求めた。この点では、構造調整のIMFの本領発揮といったところだ。


ゲスト / Guest

  • ラグラム・ラジャン / Raghuram G. Rajan

    IMF調査局長

  • デビッド・バートン / David Burton

    IMFアジア太平洋局長

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