2005年10月31日 00:00 〜 00:00
中根猛・外務省軍縮不拡散・科学部長「中東ベーシック」10

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会見リポート

今月のIAEA理事会に注目

緒方 賢一 (読売新聞国際部)

強硬派アフマディネジャド政権の発足で、今夏以降、イラン核疑惑をめぐる状況は一変した。イランが凍結していた核活動を再開し、EU3(英仏独)による対話解決の枠組みが崩れた中で、この問題にどう取り組むのか。外交当局者から掘り下げた説明を聞く機会となった。

2002年の発覚以来、秘密裏の技術研究、ウラン濃縮のための地下施設の建設、「闇市場」からの機器調達などの事実が次々と明らかになったが、イランは「平和利用の権利」を声高に主張するばかり。一方、国際社会は18年に及んだ「隠ぺいの歴史」に不信を強めた。この対立の構図を容易に解くことはできない。

国際原子力機関(IAEA)から国連安保理へ議論の場を移し、圧力を強めようとの強硬論も勢いを増しているが、重要なのはイランに核開発を放棄させることであり、米国流の圧力には限界もあるだろう。

日本にとって安全保障上の脅威となる北朝鮮の核問題と違い、日本ではイラン核疑惑への関心は高くない。だが米国と敵対するイランとも日本は良好な関係を維持し、2004年にはアザデガン油田の開発契約を結ぶなどエネルギー分野を中心に経済的な結び付きを強めている。それだけに核疑惑の行方に日本も無関心ではいられない。

こう着状態を打開する見通しは立っていないが、「外交的にはあらゆる可能性が残されており、今後を見通すうえで、11月のIAEA理事会が重要になる」という。

会場からは、イランの核疑惑で日本もEU3のように積極的な役割を果たせるのではないかとの声が上がった。ちょうど日本の天野之弥大使がIAEA理事会の議長を務めており、日本の役割はこれまで以上に大きくなるだろう。

ゲスト / Guest

  • 中根猛 / Takeshi Nakane

    外務省軍縮不拡散・科学部長 / Chair, Disarmament, Non-proliferation and Science Department

研究テーマ:中東ベーシック

研究会回数:10

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