会見リポート
2005年08月18日
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宗像紀夫・中央大学法科大学院教授/後藤貞人・弁護士・日弁連取り調べの可視化実現委副委員長
会見詳録
会見リポート
取り調べの可視化で熱い議論
飯田裕美子 (共同通信社会部次長)
捜査段階における取り調べは、録音・録画化すべきかどうか─。「するべきでない」という宗像氏と「ぜひとも実現すべきだ」という後藤氏が熱い議論を戦わせた。
東京地検特捜部長も務めた宗像氏は、リクルート事件など数々の事件を捜査した経験から「最初から『自分がやった』という人はいない。被疑者は、捜査官の説得によって、初めて心を開く。裏金の使い道として政治家や役人の名前が飛び交うような会話が録音されるとなったら、本当のことを話す人はいなくなり、真相解明はかえって遠のく」と説明。
これに対し、多くの無罪を勝ち取ってきた後藤氏は、捜査中に取調官が暴行するなどした事例を挙げながら「圧迫しないように設置すれば、30分でカメラの存在は忘れる。密室捜査の弊害は、可視化しない限りなくならない。公判も、調書の任意性、信用性をめぐって膨大な時間が使われている。こんな公判は、裁判員制度では決して許されない。可視化してあれば、争いになった時にすぐ検証できる」と反論した。
後藤氏が挙げる暴行の実例に、宗像氏は「ない事実を作り上げようと思っている捜査官はいない。刑法で主観的な内容を規定している日本の法制度全体の中では、自白は必要」と反論。後藤氏は「日本は戦後の4つの死刑・再審無罪事件から何も学んでいない。可視化によってこそ、真実が解明できる」と力説した。
長年の経験に基づく主張だけに、どちらの話にもうなずいてしまうほど。菅沼・東京新聞社会部長の冷静な仕切りが印象的だった。
ゲスト / Guest
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宗像紀夫 / Norio Munakata,
日本 / Japan
中央大学法科大学院教授 / Chuo University/lawyer
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後藤貞人 / Sadato Goto
弁護士・日弁連取り調べの可視化実現委副委員長