2005年08月25日 00:00 〜 00:00
大西義久・金融情報システムセンター理事「中国経済」4

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会見リポート

変動相場制移行は5~10年後

島貫 裕之 (共同通信経済部)

「小さな一歩は政治的配慮で行われた」─7月21日夜、中国人民銀行は人民元の切り上げを突然発表した。切り上げ観測はあったものの8月中の閑散相場だろう、否そもそも金融機関が多額の不良債権を抱えているうちは切り上げなどないなど諸説紛々で、結局のところ当分切り上げはないとの見方が支配的だった。

その時間まで大きなニュースもなく、比較的のんびりしていた当日の当番デスクだった小生は、その後膨大な原稿の渦にのまれることになった。

元日銀マンの氏も中国の為替制度の自由化は中長期的には不可避だが、現在はまだ発展途上国的側面を残しており、大幅切り上げや変動相場制の移行は時期尚早との見解だ。切り上げから約1カ月経った研究会での講演でも見方は変わらず、「米国の政治的圧力に配慮して小幅に引き上げただけ」と指摘した。

今後小幅切り上げに不満な米国とのあつれきが強まり、人民元買い圧力の増大が予想されているが、「発展しているのは一部地域で、中国の大半の地域は発展途上だ。対外圧力増大は中国の自由化を遅らせ、かえって管理強化に向かわせる可能性がある」とも警告。日米欧の先進国は中国の改革を長い目で見守るべきだと提唱する。

氏は為替相場をすべてに影響を与えるものさしにたとえ、「ものさしの変更には政治、経済、教育などを総合して評価しなければならない」と、変動相場制への移行や金融自由化の達成には共産党一党支配からの脱却など大きな制度改革も必要だと訴えている。

そう考えると変動相場制への移行は早くても5~10年後まで待つ必要があり、性急な改革は社会の混乱を招き、日本にも悪影響を与えると指摘した。

ゲスト / Guest

  • 大西義久 / Yoshihisa Onishi

    日本 / Japan

    金融情報システムセンター理事 / Chairman, FISC

研究テーマ:中国経済

研究会回数:4

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