2005年07月08日 00:00 〜 00:00
藤原和彦・中東調査会参与「中東ベーシック」7

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会見リポート

アラビア語表記で新聞に注文も  

相原 清 (読売新聞国際部)

9・11米同時テロ以来、世界を震かんさせている国際テロ組織。その名は、「アルカーイダ」か「アルカイダ」か、はたまた「アルカイーダ」か?? 話が佳境に入ると、こんな表記上の問題についても熱弁をふるった。なおざりになりがちな細部に、氏はとことんこだわる。

元読売新聞カイロ支局長。戦後、国立大学でアラビア語を専攻し、新聞・テレビの中東特派員になったのは氏が初めてだという。アラビア語が、アラブとイスラムの本質を理解するためにいかに重要かを知り抜いている。「表記の一つが正確かどうかで、記事全体の信頼性が問われる」。現役記者時代からの口癖だ。

だが、今の日本のメディア界では、アラビア語のできる記者はほんの数人。中東研究が盛んな欧米と比べ、お世辞にも進んでいるとは言い難い。中東ニュースへの注目度が高まる中、氏は日本の中東報道のあり方を常に憂い、少しでもそのレベルを引き上げようと、事あるごとに、我々後輩を叱咤激励してくれている。

中東への思い入れは人一倍。特に、豊富な取材体験に裏付けられたイスラム原理主義についての見識は群を抜き、関連著書も多い。

研究会では、エジプト政治における原理主義運動の歴史的変遷やアルカーイダ(※この表記が正解)の思想を解説してくれたが、ムスリム同胞団とジハード団など過激組織の関係を、共産党と全学連のそれに例えるなど、随所に氏のサービス精神が垣間見えた。

講演や硬派な書き物の他に、一般誌のコラムなどでも健筆をふるう。中東という摩訶不思議な世界での出来事を柔らかいタッチで分かりやすく、しかも高度な専門性を維持しながら書き下ろす。「中東ジャーナリスト」の活躍の舞台は、ますます広がっている。

ゲスト / Guest

  • 藤原和彦 / Kazuhiko Fujiwara

    中東調査会参与 / Councilor, Middle East Institute of Japan

研究テーマ:中東ベーシック

研究会回数:7

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