2005年07月22日 00:00 〜 00:00
凌星光・中国社会科学院研究員「東アジア共同体」6

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会見リポート

中国の東アジア共同体戦略  

五十川倫義 (朝日新聞論説委員)

「東アジア共同体戦略の中で最も注意すべきなのはASEAN(東南アジア諸国連合)と中国の協力が着実に進んでいることだ」と強調した。そして、日本も中国との関係を改善して共同体づくりに協力すべきだと力説した。

共同体をつくっていくためには、①ASEAN10カ国と日中韓の協力(10+3)②日中韓それぞれとASEANの協力(10+1)③各国間のバイの協力(1+1)、の3つの層の協力を有機的に結びつけていく必要があり、中国は特に②と③に力を入れているという。

それは、日中関係の悪化で10+3がうまく進まないためで、中国が1国でどんどんASEANとの協力を深めることによって、日本に刺激を与えていると説明する。

北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議についても注文をつける。「日本がしきりに日米韓というが、時代遅れだ。日米韓、日中韓の2つの軸をたくみに使うべきだ」。日本は米国を重視すると同時に、日中韓という地域協力にももっと目を向けた方がよいのではないかと問いかける。

中国としては、日本を戦略的に重視しているという。「中国の経済は数字だけの高度成長だ。多くの国内問題を抱えていて、平和な国際環境を必要としている。日本との良い関係、協力関係が必要なのだ」。そして、「靖国参拝を中止すれば、首脳往来ができて、雰囲気はがらりと変わる」と訴えた。

さらに、日米中の戦略対話を立ち上げ、米中間の不信感を取り除きながら、ASEAN地域フォーラムを安全保障体制の基盤として強化すべきだと述べた。米国の信頼を得つつ、日中協力を進めていくことで、東アジア共同体が前進する、との道筋を描いている。

ゲスト / Guest

  • 凌星光 / Ling Xingguang

    中国 / China

    中国社会科学院研究員 / Researcher, Chinese Academy of Social Sciences

研究テーマ:東アジア共同体

研究会回数:6

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