2005年07月15日 00:00 〜 00:00
岡崎久彦・元駐タイ大使「東アジア共同体」5

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会見リポート

共同体構想に疑問を呈する  

矢島 誠司 (産経新聞論説副委員長)

今年2月に始まった「東アジア共同体」研究会シリーズも、今回で5回目。これまでの講師は、どちらかといえば東アジア共同体構想に前向きか、少なくとも論議は重視するという立場の識者が中心だったが、今回は、構想そのものに懐疑的な岡崎氏をお招きした。

岡崎氏は予想通り(?)、冒頭から、「私はそもそも共同体というものをあまり重視していない。まして東アジア共同体などは、賛成、反対をいうほどのものでもない。国連に対するのと同じようなものだ」と構想に疑問を呈した。

とりわけ、安全保障の観点から見た場合、「東アジア共同体なるものは、日本の安全保障にとっては国連安保理がほとんど役に立たない以上に意味がない」とし、共同体構想の空虚さを指摘した。

「安全保障は、互いに自国は平和国家だというタテマエをいうところから出発するが、中国は台湾に武力行使を辞さずといい、北朝鮮もソウルを火の海にするなどという。これでは、東アジアでは安全保障論議は不可能だ」と岡崎氏。

経済の観点から見ても、現状の東アジア共同体構想には問題が多いと指摘。構想の背景には、アジアにおける経済の相互依存の高まりがあるが、 「それであればなぜ台湾を排除するのか。台湾は中国やアジアとの経済相互依存を高めており、経済規模も大きい」と述べ、台湾排除の動きを批判した。  ただ、ジョージ・ワシントン大学のD・シャンボー教授の論文をもとに、中国の最近の熱心なアジア進出や国際機関への参加の実態には注意を促した。そのうえで、日本の将来は日本の力と日米同盟の強化にかかっている─との持論を展開した。ゲストブックへの揮毫は「鷹鳥不群」(鷹ハ群レズ)だった。

ゲスト / Guest

  • 岡崎久彦 / Hisahiko Okazaki

    元駐タイ大使 / Former Ambassador to Thailand

研究テーマ:東アジア共同体

研究会回数:5

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