2005年07月20日 00:00 〜 00:00
トーマス・シーファー・駐日アメリカ大使

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会見リポート

注目される指導力と管理能力  

山口 勉 (読売新聞東京本社編集局次長)

2期目のブッシュ米政権は発足から半年がたったが、イラクの泥沼に足を取られ、その中で世界に先行きに対する不透明感が広がっている。 4月に来日したシーファー大使は、「大統領の親しい友人で大統領に直接電話できる人物」と言われる。

実際、来日直後の会見で大使は、「前任のベーカー氏やマンスフィールド氏のようなワシントン政界での輝かしいキャリアが私にはない。そんな私が駐日大使でいいのか」と大統領に聞き返した、というエピソードを披露した。大統領の答えは、「日本との関係が大事だから、私のことをよく知っている人間に東京にいてもらいたい」だったという。

初めての外交演説となった日本記者クラブへの登壇に、大使は十分に準備を重ねていた節がある。2001年の同時多発テロ以降の新外交政策で「米国はひどく攻撃され、非難され、誤解されてきた」と語り、日本については「世界の中で友を持つことの価値をこれまで以上に実感しています」と日米のさらなる緊密化を呼びかけた。質疑応答に移っても、自衛隊のサマワ駐留の延長から米軍基地の再編問題などよどみなく答え、問題をよく掌握していることをうかがわせた。

1期目のブッシュ大統領は、大リーグ球団テキサス・レンジャーズの共同経営者だったシーファー氏をオーストラリア大使に任命した。大使の政治任命がしばしば問題となる米国だが、国務省査察官室は、オーストラリア時代の大使について「指導力と管理能力は査察官の見たなかで最も優れている」と報告している。予測される「小泉後」の日米関係の再構築に、シーファー大使はいずれにせよ大きな役割を果たしていくことになると思える。

ゲスト / Guest

  • トーマス・シーファー / Thomas Schieffer

    アメリカ / USA

    駐日アメリカ大使 / Ambassador to Japan

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