2005年07月21日 00:00 〜 00:00
ラシード・モハメド・ラシード・エジプト対外貿易相

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会見リポート

エジプトをアラブ貿易の拠点に  

渡部 恵子 (読売新聞英字新聞部)

中東安定化のかぎを握るとして注目されるエジプトの民主化。その試金石が、秋の大統領選挙だ。特にアメリカは、自由貿易協定(FTA)交渉をもニンジンに、公正な選挙実施を求めて圧力をかけており、経済問題も政治的色彩を強く帯びている状況だ。それだけに、貿易担当大臣への質問はのっけから、「政府の選挙改革は中途半端で、有力対立候補が実質排除されるのでは」という国内批判に触れた異例の展開となった。

大臣は、「(大統領選に複数候補を認めた)憲法改正自体が歴史的出来事。近視眼的に見るのでなく、我々が長い目で改革に取り組んでいるのを理解してほしい」と返した。  長く国際ビジネスの世界で活躍し、昨年7月のアーメド・ナジフ内閣の発足で政界入りした。ぼそぼそとした口調とは裏腹に、数字や具体例を駆使した当意即妙の話の中身に、成功したビジネスマンの顔がのぞいた。

大臣は、わずか1年間で実施した税率50%や関税率60%の大幅引き下げなどの抜本的改革を紹介。その結果、GDPが伸び、輸出の好調で、近年では初めて経常収支が黒字転換したという。

大臣はまた、「現在10億ドル程度の日本との貿易関係は、そのポテンシャルから見て小さすぎる」と、貿易量拡大へ期待を語り、周辺のアラブ諸国と自由貿易協定を持つエジプトを「周辺諸国への足掛かりに活用できる」と日本の投資を促した。  だが、外国投資家には中東地域の不安定さは大きな懸念要因だ。大臣は、「テロは世界中どこでも起こっている。日本の投資家は健全な判断ができるはず」と、熱弁を振るった。

エジプト東部で死者約90人を出す同時爆破テロが起こったのは、この会見からわずか2日後。大臣の心中に去来するものは何だったろうか。

ゲスト / Guest

  • ラシード・モハメド・ラシード / Rashid Muhammad

    エジプト / Egypt

    エジプト対外貿易相 / Minister of Foreign Economic Relations and Trade

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