2005年06月29日 00:00 〜 00:00
加藤紘一・衆議院議員

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会見リポート

疾風知勁草

田勢 康弘 (日本経済新聞コラムニスト)

中国の反日デモが吹き荒れたとき、北京の人民大会堂に中国全土から6千人の若い世代のリーダーたちが集められ、そこで武大偉外務次官ら歴代日本大使が日本による経済援助や投資が中国の発展にいかに寄与したかを口々に説いた、という。この動きは全土に広まり、その結果、さらなる反日デモ騒ぎは起きなかったと中国要人と会談を重ねて帰国した自民党の加藤紘一氏は明らかにした。「反日デモを中国政府が政治的に使っている。だから政治的に中止させることもできたのだ」という見方は誤りだと主張した。

外務省のチャイナスクールで8年、政治家になって33年、この間、「中国」は加藤さんの文字通りライフワークである。「このごろは親中派ではなく媚中派と呼ばれてます」と笑わせながらも、小泉純一郎首相の近隣外交を静かな口調ながら厳しく批判した。「嫌だなと思っている相手から率直なことを言われると憎悪になる。裸の言葉をぶつけあって危ないことをやっている」。

政治記者も人間だから、個々の政治家への思いはさまざまある。同郷ということもあり、将来有望な若手政治家と、駆け出し記者のつきあいの長さは加藤さんの政治歴と同じだ。YKKというコンビが政治の舞台で存在感を持ち始めたとき、それは「加藤首相」誕生のためのシステムだと思われていた。YKKの末弟格の小泉さんが首相になり、いまや在任4年を超す大宰相になった。「政局を語る資格はないがYKKは終焉したと山崎拓さんと一致しました」。「疾風知勁草」と色紙に書いた。疾風は日中関係のことではなく、加藤さんに吹き荒れた風のことか。政治家として一回り大きく見えたのはひいき目か。

ゲスト / Guest

  • 加藤紘一 / Koichi Kato

    日本 / Japan

    衆議院議員 / Member of the House of Representatives

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