2005年06月17日 00:00 〜 00:00
ハージム・ハサニー・イラク国会議長

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会見リポート

憲法制定のキーパーソン  

村上 大介 (産経新聞外信部次長)

1月の国民議会選挙、4月末の移行政府樹立と戦後イラクの「民主化」スケジュールが進む中、いま注目されるのが、8月15日を草案作成期限とする恒久憲法の制定プロセスだ。

国民議会選の結果、多数派のイスラム教シーア派が議会と移行政府の主導権を握った。しかし、スンニ派やキリスト教徒などの少数宗派、クルド人やトルクメン人、アッシリア人といった民族問題、あるいは宗教と世俗主義の対立軸など、さまざまな要素が複雑に絡むイラクで、新憲法のあり方は将来の国の安定に決定的な影響を与える。

ハサニー氏はイスラム教スンニ派。イラク戦争後に帰国するまで米国で会社を経営。1月の総選挙で当選、4月に国会議長に選出された。憲法制定プロセスのキーパーソンであり、国際協力機構(JICA)主催の憲法制定支援セミナー出席のため来日した。

治安の悪化が伝えられる中、果たしてイラクの将来を託す憲法草案はどのようなものになるのか。会場の関心はそこに集まったが、ハサニー氏は「具体的な作業はまだ本格化していない」と認めつつも、「期限の延期は考えていない」と断言。昨年成立したイラク基本法(暫定憲法)のかなりの部分がそのまま流用可能との見方を示した。

もっとも、連邦制や宗教の位置付けなど本質的な課題は未解決のまま残されている。

だが、ハサニー氏は10月半ばの憲法承認の国民投票、本格政権樹立に向けた年内の総選挙など政治プロセスについては「スケジュールを守ることが最優先」と強調、次の選挙では今年1月の選挙をボイコットしたスンニ派の投票率は伸びるだろうと語るなど、会見では終始、楽観的なトーンを押し通した。  

ゲスト / Guest

  • ハージム・ハサニー

    イラク国会議長

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