2005年05月19日 00:00 〜 00:00
アブドラ・アブドラ・アフガニスタン外相

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会見リポート

民族融和の象徴としての役割

堀越 豊裕 (共同通信前カブール支局長)

外相の経歴に目を通し驚いた。母親がタジク人なのはともかく、父親がパシュトゥン人だったからだ。  旧政権タリバンは同国最大民族パシュトゥン人が中心だったが、米軍とともにそれを崩壊させたのがタジク人主体の旧北部同盟で、アブドラ氏はその最高幹部。アブドラ氏はタジク人─はアフガニスタン報道の常識で、本人もそう答えてきた。

今なお復興途上のアフガンは多民族国家で、民族融和が復興のカギを握るとされる。

パシュトゥン人だが軍に足場のないカルザイ大統領と、少数民族だが内戦を戦い抜き軍を押さえたタジク人の対立構図は、融和の大切さや難しさを語る上でよく取り上げられてきた。  もっともアフガンで実際に取材すると、多くの国民が複数民族の言語を理解し、パシュトゥン人を優遇したタリバンが現れるまで自分の民族を気にしたことがないと話す人も多く、日本人が理解するほど事は単純でない気はする。

ただ、昨年の大統領選でタジク人の大統領候補にインタビューした際、何度民族名を尋ねても「アフガン人」と譲らなかったことを振り返れば、民族間のあつれきが依然強いことの裏返しだと言えるだろう。  会見では、麻薬撲滅やイスラム教の聖典コーラン冒とくに関する米誌報道などに時間が割かれ、民族問題への言及はなかった。

アフガンで両親いずれの民族が自らの民族になるかは知識がないが、主要2民族を両親に持つ外相が民族融合の面で欠かせない存在であることは言うまでもない。国際社会の支援も当面必要で、アフガンの顔としての役割がしばらく続きそうだ。

ゲスト / Guest

  • アブドラ・アブドラ / Abdullah Abdullah

    アフガニスタン・イスラム共和国 / Islamic Republic of Afghanistan

    アフガニスタン外相 / Foreign Minister

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