2005年04月22日 00:00 〜 00:00
鈴木達治郎・電力中央研究所・社会経済研究所上席研究員「北朝鮮」13

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会見リポート

北朝鮮の核開発

田中 良和 (朝日新聞外報部)

「北朝鮮が原子炉の稼働を停止」「地下核実験を準備」。毎日のように北朝鮮の核開発のニュースが報道される。

だが、核開発が実際にどこまで進んでいるのか、日本にとってどれほどの脅威なのか、わからないことが多い。核についての技術的な知識を欠いているからだ。専門家である鈴木さんはこの問題を、1時間余りの間に見事に解きほぐしてくれた。まさに「目からウロコ」だった。

鈴木さんは北朝鮮の核開発の現状を、次の4段階に分けて整理した。①93~94年の第1次核危機の時にすでに7~12・5キロのプルトニウムを回収し、核爆弾1~2個が製造可能(プルトニウム約5キロで核爆弾1個を製造可能と計算)②03年末までに寧辺にある5千キロワットの黒鉛減速炉に蓄積した8017本の使用済み核燃料棒を再処理して17・5~27キロのプルトニウムを回収し、核爆弾5~6個が製造可能③さらに同原子炉を今年4月まで2年間運転、やはり約8千本の使用済み核燃料棒を再処理すれば、約半年で核爆弾1~2発分に当たる8~10キロのプルトニウムの回収が可能④寧辺と泰川に米朝枠組み合意で建設凍結中の黒鉛減速炉も含め3基すべてを稼働すれば、年間約280キロのプルトニウムの回収が可能で50発以上の核爆弾の製造ができる──というものだ。

現在、国際的な緊張を高めているのはこの3段階目だが、鈴木さんは「核燃料棒をプールに入れて冷やすには半年くらいかかる。半年以内に危機がくる」と警告した。

日本への脅威については、「ノドンと船からの短距離ミサイル」と明言。日本が06年度末からの配備を決めているミサイル防衛(MD)システムで防げるかどうかについては「懐疑的」と疑問符を付けた。

ゲスト / Guest

  • 鈴木達治郎 / Tatsujiro Suzuki

    電力中央研究所・社会経済研究所上席研究員 / Senior Research Fellow, Central Research Institute of Electric Power Industry

研究テーマ:北朝鮮

研究会回数:13

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