2005年04月11日 00:00 〜 00:00
エフド・オルメルト・イスラエル副首相

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会見リポート

“ガザ撤退”の有効性は?

村上大介 (産経新聞外信部次長)

「いま中東は歴史的な転換点を迎えている」─。シャロン政権が進める占領地ガザ地区からの一方的撤退の開始を控え、会場の関心は中東和平問題に集まったが、ブッシュ米政権が進めようとする「中東民主化構想」もあり、いまイスラエルを取り巻く国際環境は相当良く、発言からはそうした自信もうかがえた。

90年代前半からエルサレム市長を務め、いまや右派リクードの次を担う有力リーダーに。そのリクードは、国際社会で広く「常識」とされてきた「領土と交換の平和」原則には否定的で、2001年秋から続いたパレスチナとの武力抗争の中で、かつて労働党の故ラビン首相がパレスチナ解放機構(PLO)と結んだオスロ合意の解体に成功した。

その点については「われわれは従来のゲームのルールを変えようとした」と、あっさり認めた。国内右派の反発を受けるガザ撤退は、シャロン政権にとっても高いハードルだが、それが将来的にヨルダン川西岸の占領固定化につながらないのか。イスラエルが定めた「新しいルール」の有効性は、まだ未知数だ。

一方、通産相として「日本イスラエル・ベンチャーキャピタルフォーラム2005」開催に合わせての来日でもあったが、「既存の技術で安く作るのは中国やインドにもできる。だが、質問される前に答えを用意すること。つまり、まったく新しい技術を創造することは、われわれにしかできない」と、並々ならぬ自信とともに日本とイスラエルの技術協力を熱っぽく訴えた。

和平問題ではとかく批判を受けるイスラエルだが、こうした荒々しいまでの〝開拓者魂〟が一部には根強いイスラエル・シンパを生む原動力にもなっているのだろう。

ゲスト / Guest

  • エフド・オルメルト / Ehud Olmert

    イスラエル国 / State of Israel

    イスラエル副首相 / Vice Prime Minister

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