2005年04月12日 00:00 〜 00:00
アルバロ・ウリベ・ベレス・コロンビア大統領

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会見リポート

内戦終結の信念

名波正晴 (共同通信外信部)

「わが国にはふたつの現実がある。民主主義的な形で治安を回復するのが私の責務だ」

40年以上に及ぶ内戦、麻薬密輸と難題を抱えるコロンビアのウリベ大統領は、眼鏡の奥からクールな眼差しを向けながら語った。同国は中南米最大の左翼ゲリラ、コロンビア革命軍(FARC)と右派民兵、コロンビア自警軍連合(AUC)があり、麻薬を資金源とした両武装勢力が政府軍ともにらみ合うという三つどもえの情勢。法の支配と銃火の秩序という「ふたつの現実」を前に、大統領は記者から浴びせられる質問に淡々と答えた。

武装勢力側の武装解除を条件に和平交渉を始め、勢力の社会復帰を図る。大統領が描く青写真だ。AUCは2002年11月、一方的に停戦を宣言、内部抗争を経て昨年7月から本格的な和平交渉に入った。

しかし、民兵が投降した場合、過去の犯罪行為に対する刑罰の減免をめぐりAUC、国会が対立し「和平交渉は破たんの瀬戸際」(コロンビア人同行記者)とされる。大統領の日本訪問は、その矢先のことだった。

大統領は治安状況について「全面的な勝利と言わないが、勝利をおさめつつある」と語る。02年8月の就任後、殺人事件や誘拐事件は激減、和平交渉とは別に、これまで左右両派で計1万2千人が組織から離脱し通常の社会生活に戻ったという。「事実がものをいうのだ」。交渉の事態打開にも自信をのぞかせる。

内戦の終結には、武装解除を拒否し潜伏を続けるFARCとの交渉も不可欠だ。「扉はいつでも開かれている。グループが暴力を止める時はいつでも」。武力には屈しない。そんなタフな信念をにじませた。

ゲスト / Guest

  • アルバロ・ウリベ・ベレス / Álvaro Uribe Vélez

    コロンビア共和国 / Republic of Colombia

    コロンビア大統領 / President

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