2005年04月15日 00:00 〜 00:00
石原葵・農水事務次官

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会見リポート

BSEには毅然とした態度で

長澤孝昭 (時事通信解説委員)

ゲストに与えられたテーマはふたつ。「新たな食料・農業・農村基本計画」については恐らく気持ちよく話せたことだろう。

新基本計画で力を入れている政策のひとつが平成19年度から全面導入する直接支払い制度。水田作や畑作の従事者に直接補助金を支払うことによって、農業の担い手を育成することを目指している。ただ、問題は補助金がともすれば、バラマキになりがちな点。次官もその点は十分承知していて、「バラマキ批判を受けることが一番怖い。そうならないよう、選択と集中を農業の世界でも採用する」考えだ。

しかし新政策は、従来の農産物への「間接補助」から生産者への「直接補助」に大きくかじを切る日本ではなじみのない施策。

今夏以降、行政・農業団体が一体となって担い手育成のための国民運動を展開するというが、生産者はともかく、果たして消費者(納税者)の理解を得られるかどうか。「理解を得られなければ、農水省が取り組んできた農政改革は失敗だったと言わざるを得ない」と次官の覚悟は固いのだが……。

もうひとつの「食の安全・安心確保」、とりわけBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)問題は外交的にも微妙で、あまり触れたくなかったはずだ。国内措置の見直しは終わり、あとは牛肉輸入再開条件の確定に関心が移っているが、「食品安全委員会で議論するための資料の提供はアメリカ側にきちんと求めたい」ときっぱり。

食の安全・安心を確保するために54年間続いた食糧庁の廃止を受け入れた最後の長官としては、BSE問題には毅然とした態度で取り組みたいとの気概がにじみ出ていた。

ゲスト / Guest

  • 石原葵 / Mamoru Ishihara

    農水事務次官 / Administrative Vice-Minister, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries

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