2005年04月05日 00:00 〜 00:00
カマル・モジャーン・国連難民高等弁務官補/神余隆博・外務省国際社会協力部長

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会見リポート

力をつけるための支援を

竹内康雄 (日本経済新聞国際部)

アフリカの存在感が高まっている。4月にアジア・アフリカ会議が開かれ、7月の英グレンイーグルズサミットでは、主催国の英国はアフリカ支援問題を主要議題に据えるとされる。9月には国連ミレニアム宣言に関する首脳会議が開かれる。何より国連改革がヤマ場を迎える今年、日本の安全保障理事会常任理事国入りにアフリカ諸国の支持が、重要なカギを握っているからだ。

会見では、ブルンジやコンゴ民主共和国などの難民・避難民問題、スーダンのダルフール情勢、インド洋大津波、日本の政府開発援助(ODA)のあり方──など、話題は多岐に及んだ。48時間という短期間の日本滞在で、政府や国際機関、NGOとの会談をこなしたモジャーン氏。「アフリカはUNHCRにも日本にも戦略的な地域」と、日本の立場を見透かしたようにODA増額を要請。物腰柔らかな語り口にも、トップ不在が続くUNHCRの屋台骨を支えているという自負も垣間見えた。

過去15年間UNHCR向け拠出が、米国に次いで2番目だった日本。神余氏も「(順位を)キープしていきたい」と応じた。日本政府は削減傾向にあるODAを、アフリカ諸国に重点配分する方向だという。
 
「援助はチャリティーではない」──。神余氏の発言にモジャーン氏が同調した。「われわれはassistance(援助)ではなく、empowerment (力をつけること)と呼ぶようにしている」。こうした発想は今の日本人にあるのだろうか。日本でアフリカがクローズアップされているとはいえ、話題に上るのはカネにまつわる話が圧倒的だ。ODAのあり方が注目されるなか、カネだけではなくもっと別の見方からも議論し直す必要があるのではないかと感じた。

ゲスト / Guest

  • カマル・モジャーン

    国連難民高等弁務官補

  • 神余隆博

    外務省国際社会協力部長

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