2005年04月01日 00:00 〜 00:00
ロバート・オア・国連事務総長補

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会見リポート

正念場を迎える国連改革

小谷守彦 (毎日新聞外信部)

アナン国連事務総長は3月21日、国連改革を含む勧告「より大きな自由に向けてすべての人々の発展、安全、人権のために」を提示した。国連事務局には、自らのイニシアチブを高め、世界の諸問題を解決に向かわせようという強い意気込みがある。オア氏は、米国出身の事務総長補(政策調整・戦略的計画担当)として、勧告の作成経緯に通じ、9月に予定される国連サミットに向けた加盟国間の調整も担う中心人物である。

常任理事国入りを狙う日本のメディアにとって、アナン勧告への関心は高い。オア氏は「高度な質問が多く、充実した会見だった」と総括した。約50分に及んだ質問は、勧告そのものに対してよりも、勧告には触れられていない拒否権の問題、アナン氏の長男をめぐる不正疑惑、勧告に対する米国の姿勢など、より広く国連の現状を見渡そうとするものが多かったようだ。

カリフォルニア州サンタバーバラのハイスクール時代、交換留学で茨城県常陸太田市に滞在したオア氏は、日本の常任理事国入りについて「事務総長は現在の世界を反映した国連にしたいと言っている」と、明言はしないが理解を示した。「日本は国連を必要とし、国連は日本を必要としている」とも述べた。

だが、オア氏の母国から絶えず逆風が吹いていることもまた事実だろう。日本の常任理事国入りが、もしも米国の国益にかなうというだけで米国から支持されているのなら、日本はその考え方をただす時期に来ていると思う。

会見後の動きだが、9月までの決断を世界に迫ったアナン勧告に対し、米国、中国などが期限設定に反対し始めた。還暦を迎える国連に再び生命を吹き込む試みは、正念場を迎えている。

ゲスト / Guest

  • ロバート・オア / Robert Orr

    国連事務総長補 / Complement for the UN Secretary-General

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