2005年03月23日 00:00 〜 00:00
佐藤秀信・元外務省イラン専門調査員「中東ベーシック」3

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会見リポート

核兵器開発能力の向上も視野に

藤原和彦 (個人会員(読売新聞出身 中東ジャーナリスト))

新進気鋭のイラン専門家、佐藤秀信さんは日本の若手中東専門家にありがちな党派性や気負いがない。客観的、かつ冷静な分析で、すでに定評がある。

今回の研究会ではイラン情勢を核開発対イラク・レバノンへの思惑第9期大統領選挙の3点から解説した。

今最も関心の高い「核開発」問題ではまず、レジュメに掲載した年表(「イランの核開発問題の流れ」)に沿って1970年から現在に至る経緯を解説。とくに(1)2003年6月、IAEA(国際原子力機関)理事会が早期かつ無条件の追加議定書締結をイランに求める議長総括を採択(2)2004年6月、IAEA理事会がウラン濃縮汚染問題、P2型遠心分離器計画問題などの即時徹底糾明をイランに求める英仏独共同提案決議を採択──を「2つのヤマ場」としながら、流れが捉えにくいイラン核問題の経緯を分かりやすく解説した。

加えて、一歩踏み込んで「(イラン政府は)平和利用の核開発技術取得と並行して、核兵器開発能力の向上も視野に入れる」と述べた。

また、「対イラク・レバノン関係」に関しても、「合法政党化するSCIRI(イラク・イスラム革命最高評議会)を『第2のヒズブッラー』にすべく、先を見据えた体制作りを支援か」と踏み込んで分析した。

さらに、6月17日実施予定の「第9期大統領選挙」については、出馬が予想される5人について、その政治的立場を紹介。中でも興味深かったのは、イラン保守派が「対内穏健保守派」と「体制保守派」に分裂しているという分析だった。次期大統領選報道では実際、流行の分析となるかもしれない。

ゲスト / Guest

  • 佐藤秀信 / Hidenobu Sato

    元外務省イラン専門調査員 / Former Researcher specializing in Iran, Foreign Ministry

研究テーマ:中東ベーシック

研究会回数:3

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