2005年03月17日 00:00 〜 00:00
植木安弘・国連アチェ広報官

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会見リポート

国際社会の連帯に自信

土屋 豪志 (共同通信外信部)

スマトラ沖地震と津波による最大の被災地、インドネシア・バンダアチェで1月28日から3月14日まで、国連緊急援助調整官室(OCHA)の広報担当官を務めた植木安弘・国連広報官が現場の状況を報告、「イラク戦争とは好対照。国際的な連帯を背に、国連は期待された役割を果たせたと思う」と話し、日焼けした表情に自信を浮かべた。

植木氏はイラク戦争前に大量破壊兵器査察団の報道官としてバグダッドに駐在しており、「国際社会が真っ二つに割れた中での活動は難しかった」と当時の状況を説明。「国連の意義が問われていた」と苦境を振り返ったが、津波支援では、主要国の大幅な支援積み増し、疫病の拡大や親を失った子供が人身売買の対象になることの阻止に貢献できたと語り、国連が「国際社会の連帯」を背にしたことを最大の理由に挙げた。

インドネシア政府は津波から3カ月後の3月26日に復興計画を発表、緊急支援から復興への移行を宣言する方針といい、同国軍も緊急活動から通常態勢に復帰する。自衛隊のほか、支援を展開した外国軍はほぼ撤退、国連の活動を末端で支えたNGOも、インドネシア政府の選別を受け、多くが撤退する見通しだという。

しかし、3月中旬でも1日に約50の遺体が回収され、避難生活を送る人の数は依然として40万人を超えるのがアチェの現状。植木氏は「緊急支援のニーズはなくなっていない」と強調し、今後復興活動の主体となる現地の自治体は「多くの人材を失っており、実施能力があるのかが一番の問題になっている」と指摘。被災3カ月を機に現地での支援態勢が大きく変わろうとしていることに懸念を表明するとともに、国際社会の支援継続の必要性を訴えた。

ゲスト / Guest

  • 植木安弘 / Yasuhiro Ueki

    国連アチェ広報官 / UN spokesman in Aceh

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